舞い踊れ!-2016- Part.3 ~ハードレイン~

「雨でもやるのか?」

イベントは雨の中でも決行された。
ヨサコイソーランって雨でもやるのか。でも、観客いないぜ。
みんな雨の当たらない場所で遠くから眺めている。
踊り子さんの熱量と反比例するような観客のテンション。
そりゃそうだ、誰だって濡れたくはない。
しかも、この日の雨はかなり強く叩きつけるような勢いだ。
中止になれば諦めて家に帰れるんだが残念ながらイベントは続く。

帰りたい気持ち半々で会場にいた。すでにダンス写真の練習で来ていることは忘れていた。
イベントって最後の方に凄いのが出るじゃない?だから最後まで観ないともったいない。そんな気持ちからとりあえず最後まで居ようと決めた。
傘をさして写真を撮るのは面倒だが降ったことで恵まれたこともある。先ほどまでいた観客が雨宿りに移動したことでステージ前に多くのスペースが空いたのだ。写真を撮るには丁度良い程度の観客だ。

あまり踊り子さんと近い距離は恥ずかしい自意識が邪魔をする。
「別にお前のことなんか気にしてねぇよ」まったくもってその通りである。
しかし踊る人の事を「踊り子」というのはなんとかならんもんかね?「踊り子さんには触れないでくださぁ〜い」そんなセリフを思い出してしまう。
もっとも触れるほど穏やかな踊りではなかったけどな。
イベントも終盤に差し掛かってきた雨は止む気配はない。
そして次のチームが現れた。後方から掛け声がする。

踊り子さんたちの雰囲気が他のチームと明らかに違う。
マイクの人が演目の説明をする「この人たちは界隈では有名なんだな」そう思いながら説明を聞いた。
微妙な茨城訛りにホッとしながら『へぇ〜桜田門外の変って3月だったのね』ふむふむと語りを聞く。
その日は今日の雨より強い大雨が降り、大雪だったそうです。
そして演舞が始まった。
「安政七年、桜田門外にて…本懐」

「全力の人を観て感動しない人はいない」

いつでも全力。
僕は水戸藩にはそんな印象がある。
もちろん他にも常に全力で演舞しているチームはあるだろう。
僕が知らないだけできっとたくさんあるはずだ。
そういうチームは観ていて応援したくなる。

感動はどこからやってくるのか?
美しいものや素晴らしいものに触れた瞬間に心が強く動かされた時に感じることをいうのだが、僕は全力を出し切っている姿を観た時に感動をする。
全力を出している姿に美しいと思い、素晴らしいと心が強く動かされる。
逆にどんなにうまくまとまっていても全力を感じさせないものには1ミリも感動しない。

「今日はこの程度で良いんじゃない?」

そんな気分になる時があるのもわかる。
雨は降っているし観客は遠くから見ている。
目の前にいるのはカメラを構えた人たちだけだ。
『観客が多い方が燃える』人前で何かを表現したことがある人であればこの気持ちは理解できるはずだ。
一人でも千人でも変わらず表現するこれは理想であってなかなか難しい。自分はやっているつもりだろうが微妙な緩みがそこには必ずある。
そこを観客は見逃さない。

「無料なほど観客の目は厳しい」

意外と思うかもしれないが無料な時の方が観客の目は厳しい場合が多い。本来なら料金を支払っている方が厳しような気もするが、それはよっぽどひどい時の場合で大体は「よかったぁ」と思うように観客も頑張る。
それはお金と時間を無駄にしたと思いたくないと言う気持ちからだ。
しかし無料の場合は違う。面白くなければその場を去ればいい、時間を有効に使いたければ簡単なことだ。

話は変わるがセミナーや講座などのイベントでキャンセルが多いのは有料よりも無料イベントの方だ、これも優先順位が有料のイベントに対して無料イベントは下にあるからだ。

「一期一会なんて言うつもりもないが」

今日この日に初めて演舞を観る人がいる。その人にどこまで感動を伝えることが出来るか。各チームともそう考えていつも演舞をしているのだろう。
どうせ今日だけの観客だろ?と思うか、今日の演舞を観てまたどこかのイベントに来てくれないだろうか?と考えるか。
その気持ちが演舞のモチベーションとなって観客に伝わる…

「感動は感謝となりファンを創る」

「ヤー、ハイ!」という掛け声とともに演舞が始まった。この雨の中こんなに高く飛んで大丈夫か?観ているこっちが心配になるほどに激しい演舞だった。
後ろを振り返り思う。
「おいおい、こんな激しい演舞してんのに、そんなとこで観てるのもったいないぞ!こっちで観ろよ!」
感動は感謝となりファンを創る。
演舞が終わると雨が先ほど以上に強くなってきた。
イベントは一時中断となった。
雨宿りをしながら「すっげぇ良いもん観たわ」と軽い興奮を感じていた。

「ヨサコイソーランね。悪くないじゃん。」

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1969年、大分県別府市育ち。会社員生活27年の経験から「個人が変われば組織は必ず変わる」ことを伝えるミッションを受け。ライター、写真家、イベント企画、マネジメントアドバイザーなど様々なプロジェクトで伝えている。人気講座である「優先順位設定をして業務効率をあげよう」は参加満足度90%を超える評価を得ている。2017年末には初の書籍「飛躍する勤労」をGalaxy Books社より刊行予定